藤田 強さ本物

2003/6/16 (月)

昨年の日本王者
藤田 強さ本物

6月16日、相模原市の相模原ゴルフクラブ(西コースアウト・イン、東コースアウト、計10392yd、Par109)で男子の部決勝を行い、参加171選手が27ホールストロークプレーで熱戦を展開した。
 約2カ月半にわたる大会の締めくくり。午後から雨が強くなるあいにくのコンディションだったが、実力者ぞろいの決勝にふさわしいハイレベルの戦いとなった。その激戦を制したのは、昨年の日本アマチュア選手権で初優勝した藤田大(横浜)。前半18ホールを2アンダーで折り返した藤田は、後半9ホールでさらに1打伸ばし、4バーディー、1ボギーの3アンダー、106ストロークで初優勝に輝いた。
 1打差の2位は小原淳(横浜)。連覇を狙った前年優勝の山本秋夫(横浜)は112ストロークで11位タイだった。
 来年の決勝シード権は、113ストロークまでの上位20選手が獲得。準決勝シード権は124ストロークまでの上位120選手が得た。             
(和城 信行、西山 佳宏)

スタイル貫いて初Ⅴ

1打差競り勝つ

日本チャンプはやはり強かった。藤田大(25)。昨年、アマチュア最高のタイトルを手中にした実力者が、全国でもトップレベルのライバルに競り勝ち、初優勝。「念願がかないました」と最高の笑顔を見せた。
 1日27ホールの決勝。意気込んで失敗する選手、雰囲気にのまれる選手がいる中、藤田は自分を見失わなかった。「あまりラウンドしていない上、長丁場だからゆっくりと試合勘を取り戻しながらやりました」。ドライバーとパットはいつもの出来ではなかったが、その分アイアンショットが切れた。4バーディー、1ボギー。上がり6ホールは「イメージ通りのゴルフが出来た」と確実にパーを拾うスタイルを貫いた。
 藤田は「バーディーは副産物です」と言い切る。これだけの実力がありながら、攻めの姿勢が必要なプロヘ進むつもりはない。「自分にはこの型が合っているんですね」とプロにはプロの、アマにはアマの型があることを知り尽くしている。
 ビッグタイトルを取ってから周囲の目が変わり、悩んだ時期もあった。そんなとき、日本アマの優勝経験があり、初代県アマ王者の内藤正幸氏の一言で楽になった。「それがタイトルの重みであり、宿命なんだ」。迷いがなくなり、本来の姿を取り戻した。
 アマに徹するからこそ、その頂点を目指す気持ちは誰よりも強い。7月には連覇が懸かる日本アマが控えている。「まだまだ課題はある。これからです」。25歳のチャンピオンはさらに前を見据えた。    (西山 佳宏)

最年少の小6健闘

 ○…決勝出場選手中最年少の佐藤秀憲(鎌倉市立植木小6年)が、通算7オーバーと健闘した。
 前半18ホールで6オーバーと苦しんだが、後半9ホールで若さを発揮。最後の西コース17番(ミドル)、18番(ロング)で、いずれも1パットの連続バーディーを決めた。
 伊沢利光プロのおいっ子という〝サラブレッド〟。初出場の昨年は準決勝で敗退したが、ことしは決勝で堂々のプレーをみせ、多くの参加者を「小学生にやられちゃったよ」と悔しがらせた。
 昨年から身長が約10㌢伸びて、ドライバーの平均飛距離も230ヤードから250ヤードになった。伊沢プロにあこがれてゴルフ漬けの生活を送る伸び盛りの11歳は、「ことしはジュニアの全国大会で優勝を目指します」と元気いっぱいだった。

さすがの前年覇者

 〇…昨年王者の山本秋夫(55)は、トータル3オーバー112ストロークで11位タイ。連覇こそ成らなかったが、優勝した藤田大と同じ組で、さすがの安定感を発揮した。「ティーショットの調子が悪くて」と言うが、何とかスコアをまとめてくるのがベテランの味。最初の西アウトこそ2オーバーだったが、そこからの18ホールは2バーディー、3ボギーの1オーバーでしのいだ。
 ことしは6月2日に行われたシニア55歳以上の部でタイトルを獲得している。山本は「駄目だったけど、まあ、自分のゴルフはできたから」と、淡々とした表情でプレーを振り返った。

最高のゴルフ 満足感漂う2位 小原

 1打差で、惜しくも2位となった小原淳(18)。だが、その表情には悔しさはまったくなく、「最高のゴルフでした」と振り返った。
 会場の相模原ゴルフクラブは「これまで全然スコアが出なくて、相性は最悪」だった。ところがこの日は、7バーディーを奪って、終始優位にラウンドできた。後半の9ホールはドライバーを封印。「この難しいコースでうまくプレーできるのがうれしくて、順位とかは全然考えなかった」と、コースとの戦いに没頭した。2ダブルボギーで、惜しまれるホールはあった。しかし「27ホールあれば、そのぐらいのことはある。何とか(パーを)拾えるホールがそれ以上にあるわけですから」と話す表情は満足感でいっぱいだ。
 日大ゴルフ部の2年。ことしは左手首を痛め、1月と4月に約2週間、練習できない時期があった。10歳からのゴルフ歴で初めてのことで、「焦ったりしました」と打ち明ける。
 大会直前の関東アマチュアは予選落ち。手首はまだ完調ではない。それでも「やればできるもんですね。日本アマチャンピオン(藤田)と1打差です
から」と笑顔。いいきっかけをつかんだようだ。    (和城 信行)

男子の部決勝 相模原ゴルフクラブ
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