2000/6/26 (月)
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優勝カップを手に喜ぶ山口さん(左)と杉崎さん=芙蓉カントリー倶楽部 |
2000県アマチュアゴルフ選手権大会の最後を飾る男子シニア60歳代の部、70歳以上の部決勝が6月26日、藤沢市大庭の芙蓉カントリー倶楽部(60歳代の部6242ヤード、70歳以上の部6051ヤード、ともにパー70)に計183選手が参加し、18ホールストロークプレーで熱戦が繰り広げられた。
2000県アマチュアゴルフ選手権大会の最後を飾る男子シニア60歳代の部、70歳以上の部決勝が6月26日、藤沢市大庭の芙蓉カントリー倶楽部(60歳代の部6242ヤード、70歳以上の部6051ヤード、ともにパー70)に計183選手が参加し、18ホールストロークプレーで熱戦が繰り広げられた。
フェアウェーが狭く、ショットの正確さが求められるコース。参加選手は、ベテランらしい多彩な技で順調にスコアを伸ばした。両部門ともにトップは同スコアのカウントバックにより決まる大接戦となった。
155選手が出場した60歳代の部を制したのは、杉崎積選手(小田原)。前半2オーバーで折り返したが、後半3バーディーを奪って追い上げ、同スコアの佐藤伊佐緒選手(横浜)に競り勝った。
28選手が出場した70歳以上の部は、山口梅吉選手(大和)と、国本保雄選手(相模原)が78ストロークで並んだ。最終18ホールをパーで上がった山口選手が、ダブルボギーだった国本選手を制し、初優勝に輝いた。
◆81歳の松浦選手/腕前は健在「91」で回る
〇…出場選手中最高齢は81歳の松浦益司郎選手(南足柄)。トータル91で回り、「目標としていた100を切ることができた」と満足そうだった。
「アップダウンが激しいコースで、正直きつかった」と話すが、4つのホールでパーを記録。過去四回エージシュートをマークした腕前は、まだまだ健在だ。
松浦さんは1998年の長野五輪まで全日本スキー連盟の副会長。「若いころは」スキーのアルペン競技の選手としてならし、冬季国体の神奈川代表選手にも選ばれ入賞も6度経験している。
足腰の強さはスキーで培われたもの。「年1回のエージシュートを目標に、まだまだ続けるよ」と意気軒昂なところを見せていた。
攻めの姿勢が光る
◆60歳代優勝杉崎選手
60歳代の部で逆転勝利を決めたのは、キャンセル待ちで"飛び入り参加"した杉崎積選手(63)=小田原。朝八時にゴルフ場に到着し、3人の欠場者が出たため出場できた。
芙蓉カントリー倶楽部でのプレーは5年ぶり。フェアウエーの狭いコースに苦しみ、前半は2オーバーと出遅れた。だが、「距離の短いコースだから、得意のショートアイアンで攻めていこう」と、気持ちを切り替えた。
後半はミドルホールのセカンドショットがことごとくピンに絡んで3、6、8番とバーディー。「前半がもっとよかったら、守りに入っていた。悪かった分、自分の攻めのゴルフができた」と納得の内容だった。
「おれは攻めのゴルフだから、駄目だと80ぐらいたたいちゃうけど、いい時はアンダーパーが出る」と杉崎選手。ゴルフ歴は約40年になるが、攻めの姿勢は変わらない。そして、年齢を取った分、少しだけ我慢強くなったという。
「今日のプレーをみても、ゴルフはあきらめちゃ駄目。投げないで、チャンスを待つんだ。アプローチやパターは、まだうまくなると思う」と、さらに何かをつかんだ様子だ。
これまで、県アマゴルフには「ずいぶん前に3回出ただけ」とあまり縁がなかった。今回は親しい友人が出場するためエントリーしたところ、締め切りにわずかに間に合わなかった。
この日は「出られるか分からなかったけど、家にいてもつまらないから来てみた。おれなんかが優勝しちゃって、他の選手に失礼だね」と、豪快な笑顔で喜びを表現した。
来年は「せっかく優勝したから、早めに申し込んで、出させていただきますよ」とにっこり。明るく若々しいシニアチャンピオンは、連覇に意欲を見せた。
第一人者に新たな「冠」
◆70歳以上の部/山口選手、3度目の挑戦実る
重ねた齢(よわい)は80。そしてこの日のスコアは78。70歳以上の部に3度目の挑戦をした山口梅吉選手(大和)が初タイトルをエージシュートで飾った。
シニアアマ界でその名はあまりに有名だ。一昨年、昨年のアジアシニアのチャンピオン。全日本シニアで二度の優勝、グランドシニアで手にした栄冠も数知れない。エージシュートも「もう勘定できないよ」。初優勝というのが不思議なくらいな実績である。
強さを支えるのは、そのドライバーの距離。左足のつま先を内側に向けた独特のスタンスから放たれるショットは、同じ組で回った"若手"のだれよりも飛び、そして、フェアウエーを外さない。そしてアプローチも。最終18番では残り70ヤードの3打目をSWでピンそばにピタリ。パットも難なく沈め、きっちりパーで締めくくった。
これで先にホールアウトした国本保雄選手(72)=相模原市=と同スコア。スコアカード上でのカウントバック方式のサドンデスで、ダブルボギーで上がった国本選手を上回った。
実は昨年、この18番でボギーをたたき、同じくサドンデスで敗れている。今年は手堅くまとめ、初優勝と同時に、その悔しさも晴らしてみせた。やはり、役者が違った。
「強さの秘けつ? 60歳でたばこをやめたことかな」。本人はおどけてみせたが、ことプレーに関しては話は別。「今日はパットが全然ダメ。1オーバーぐらいで回るつもりだったんだけど」。9度のパーオンでバーディーは一度だけ。3パットが六度もあったことが気に入らない。「来年はもっといいスコアで優勝するよ」。その貪(どん)欲さがまた、強さを支えている。